絶望の果てに…part2
「何故 紙は私を見捨てたのですか!」
私は嘆き悲しんだ この扉は地獄の門だったのだ
もう出ることは赦されないのかと
僕はロダンの【考える人】のように
考えた
ほとばしるそれは 私にはどうしても許されなかった 私の家は勿論のこと 他でも経験が一度もない 私がこれからの行動の選択肢にさえ入れていない
何故か
私には3つの 嫌 がある
まず一つ目は他人が握る おむすび
二つ目はペットボトルの回し飲み
そして三つ目は うぉしゅれっ…
愛用している人 製造している方々には
ほんと申し訳なく思っております
飛び散る運
誰のものかわからない運
その付着したであろう棒が
勝ち誇ったように出てくる
Wi~nと…
ああっ想像してしまった
私は何度も首を横に振りその想像を振り払った
残された選択肢は2つのみだった
靴下かパンツか
私は迷わず靴下を選択した この靴下はかなりすり減り今日でお別れと思っていたからだ
ちょうどいい それでいい
私は左足に履いている靴下を脱いだ
わたし はだし?
わたし~あたし はだし~
わたし~あたし はだし~♪
ふりそでてしょん~♪
あかんあかん 革靴と裸足 あわんあわん
これは世間様にバレてしまう
あ、あの人 もしかして と指差される
仕方ないパン…
真っ赤なパンツ
こないだ高いお金出して買ったパンツ…
げん担ぎの真っ赤なパンツ…
これこそあかん!バチがあたる!
私は岩壁の淵に立たされた気分だった
この私に自滅しろと云うのか
私は振り返り上の棚を睨め付けた
だがあることに気が付いた
それはその棚の幅の大きさだ 先ほど見たときトイレットロールはなかったが 奥まで見ていない もしやと思い私は早速腰を浮かせ奥まで覗いた なんとそこにはロールが一つだけあった死角で気が付かなかったのだ私はそのトイレットロールを手に取り強く抱き締め
ありがとう ありがとうと何度も紙に感謝した
だが喜びも束の間 トイレの水を流そうとした
その時である 扉を激しく揺らす者がいる 私のゆっくりとした拍動は早鐘を打ち それと同時にお尻の穴を引き締め そして息を殺した 人の気配は感じられない それもそのはず この場所にこの時間に人はまずは訪れない
「ただの風か?」とそう思った
するとまたドアが激しく揺れ 不意に指先で背中
をすっとなぞられたように 背筋が凍った
そのすぐあとに「おおおおお~!」と低い声がした
私は声帯を振るわさず 息だけで叫んだ
「ひゃああああああああああ~!」
仕草も カマ っぽかった
いや待てよ 私のような境遇にいる人ならば
私もそうしたかもしれない 私は深呼吸で荒くなった呼吸と恐怖を鎮めた
【ドアの振動が止まった チャンスだ】
私は満を持してトイレに【先に入っているのですよ】の合図をだした
そうドアを2回ほどノックして…
するとまたドアが激しく揺れた
「ぎやああああ」と迂闊にも生声を出してしまった
「は、は入ってます!」と言ったが
返事がない もう一度大きな声で「入ってます!もう出ます!(もううんちはでたんですが…)」 と声を荒らげた
私は急いで下着とズボンを穿こうと腰を浮かせた
確かに拭いた しつこく拭いた 私は間違いなく拭いた だが明らかに違和感があった…
私は そ こを 注視 した 私は目を疑った
「こ、こんなことが…」
【最後に拭き上げた時に確かに便器の中に落としたはず】
だがその原因は即座に解明された
【あの時だ!間違いない】
最後拭きの時にちょうどドアが激しく揺れ
私は驚きお尻の穴をきつく締めた
その紙の一部が穴にガチホールドされてのだ
それは くす玉を割った時のように1本だけ垂れ下がっていた
私は慎重に慎重を重ね親指と人差し指で紙を引っ張った そうゆっくりと
そして切り離すことに成功し急いでパンツ そしてズボンを穿きドアノブの鍵を開けた
そこにはもう誰もいなかった何事もなかったかのように
ただ降りしきる雨と不気味に風の音だけが聞こえていた
あのドアを揺するのは誰だったのだろう
不思議な体験をした
だから風だって…